嵩丸秘傳

あるときはサラリーマン。またあるときは和太鼓奏者。その真の姿は世を忍ぶ乱波者「嵩丸」が書き残した秘傳の書が発見されたようです。忍者専門サイト「Ninjack」の中の人もやってます。

忍者まつりで感じた危機感

Ninjackにて忍者まつりのレポートを書きました。

 

【Nin-Repo】全国の忍者が集結!スカイツリー「忍者まつり」に潜入してきた | Ninjack -すべての忍者をJackする-

 

基本的にはNinjackは「忍者バンザイ!」の精神で執筆しているのですが、時々悩むことがあります。

 

それは「忍者のイメージを落とすからやめてほしいなー」って思う行動を記事中で批判するかどうか。

 

基本的にはみんな忍者愛があってやってるんだと思うんですけど、忍者を金儲けの道具としか見れない人がごくたまにいます。

 

そんな人を見るとちょっと悲しくなってしまいます。

 

そしてそういう人がやる忍者のアウトプットって、だいたいサブいものだったりします。

 

まぁ忍者好きすぎてもNinjackだって一般の人にとっては寒いものに映ったりしているでしょうし、人それぞれなんですけどね。

 

自分だって寒い部分が大いにあることは否定しません。

 

幸い今までのNinjackの取材ではあまりそんな風に悩んだことはないのですが、今回の忍者まつりは運営面において非常に残念だと感じることが多々ありました。

 

誤解なきように言うと、今回の忍者まつりは各団体の出し物、現場で運営や進行をやっていた現場監督やスタッフ、各物産展の対応人員の方は非常に一生懸命対応していて、楽しませてもらえたと思っています。

 

雨で一時中断した時のスケジュール組み換えの対応などは見事で、予定コンテンツは消化しつつも時間内に収めるなど素晴らしい対応でした。

 

でも総じてイベント全体のプロデュースやディレクションなどもう少し上のレイヤーにおいては、たくさんの課題があったなと感じました。

 

特に挙げると・・・

・告知にはあった阿修羅ショーが予告なくキャンセルされていたこと

・準備時間が足りないのか物産展の急ごしらえ感が満載だったこと

・プロモーションが行き届いておらず認知が全く足りていないこと

・忍者コスプレ大会もなくなっていたこと

・風魔まつりのイベントと被ってるとか忍者イベント全体が見れていないこと

・相変わらず首長たちの結ぶ印が間違っていること

 

あまり批判はしたくない性格なのですが、本気で忍者を日本に・世界に広めようとするならば、日本忍者協議会にはもうちょっとちゃんと運営して欲しかったのが正直なところです。

 

ぜひこれを読んで忍者愛のある人が立ち上がってくれたらな、という思いもあり、新しいブログにひっそりと思いを綴ってみました。

 

阿修羅の欠席

 

事前の告知では東京スカイツリーのページでも阿修羅の写真が使われており、大変楽しみにしていたのですが特に何の御触れもなく、なかったことになっていました。

 

伊賀のPRにとっても、一般の方が忍者コンテンツを楽しむにおいても、やっぱり阿修羅は欠かせない存在だと思っているのですが、もし阿修羅講演を楽しみにしていた人が来ていたとしたら何らかの説明はすべきだったと思います。

 

一見の通行客を引き付けるにも、阿修羅のショーはすごく興味深いですからね。

 

怪我によるものとのことですが、本当なのかな。。。

 

阿修羅の欠席は、イベント全体で見ると痛手でしかなく、大変もったいなかったと思います。

 

物産展の急ごしらえ感

002

伊賀、愛知、小田原を除いては忍者グッズが置いておらず、上田市に至ってはチラシすら置いてありませんでした。

 

どういうことかと思ってブースの方に聞いてみたところ、出展の詳細などもギリギリまで決まらず、連絡もなく、準備期間もほとんどなかったために、急ごしらえで準備せざるをえなかったとのこと。

 

ショーに出演された方々も同じ状況だったと伺いました。

 

阿修羅が来れなかったり、服部半蔵忍者隊が二人だけというのもそういう事情があったように勘繰ってしまいます。

 

せっかく地方から東京まで出てきているので、本当なら忍者で観光誘致をもっとアピールしたかったはずですが、運営側のスケジュール管理に課題がありそうです。

 

上田市なんかは観光協会真田丸特需で絶対忙しいはずなので、かなり事前から調整が必要なのは目に見えていて、配慮すべきだったと考えます。

 

その中でも伊賀はおなじみの手裏剣大会のお兄さんたちが、しっかりと手裏剣コーナーを用意してお客さんを楽しませていたのはさすがでした。

 

記事でも紹介しましたが、また雨が降ってきてしまい一時イベントが中断したとき、お客さんにちゃんと忍者を楽しんでいただけるように「徳川家康服部半蔵忍者隊」が通路でお客さんとの写真撮影を自発的に行っていたのは素晴らしい対応でした。

 

伊賀も愛知も、こと忍者での観光PRには本気で取り組む地域。

 

行きたいって思ってもらえるにはやっぱりお客さんに楽しいって思ってもらえることが大事です。

 

その辺りをしっかりと理解し、身に染み付いて行動に出すことができるのはやはり本気だからでしょう。

 

ほとんどされなかったプロモーション

そしてプロモーションがほとんどされていなかったのは致命的だと思います。

 

1週間前に開催が発表されてからNinjackで取り上げたらかなりの反響がありましたが、それまでほとんどの人が知らなかったのが痛いです。

 

「もうちょっと早く知っていれば行ったのに。。。」というツイッターのコメントも多かったです。

 

全国の忍者が集結するお祭りなんてコンセプトはすごく面白いのに、知られなければ意味がありません。

 

川上先生の演武とか貴重だし、葉隠一族なんて九州だからなかなか見れないのに本当にもったいないです。

 

コスプレ大会も人数が集まらなかったのか、やはりなかったことになっていました。

 

次回開催するときには、十分な期間の告知をお願いしたいものです。

 

風魔まつりと被っているという失態

 

忍者イベントって1年間を通してもそんなにありません。

 

伊賀や甲賀ならまだしも、ましてや関東でのイベントは数えるほどです。

 

関東では小田原の風魔まつりが毎年行われていますが、今回なんと忍者まつりと日程が被ってたんです。

 

前に日本忍者協議会主催の忍パというファンランイベントもありましたが、それも甲賀忍者検定と被ってて、忍者好きの人はみんな検定の方に行ってました。

 

ただでさえ少ない忍者イベントなのに日程をかぶらせまくるってどうしてなのでしょうか?

 

いろいろ事情はあるのだと思うのですが、せっかく各地方団体が集まっているのだから事前に把握もできるわけで、調整もできるはずですよね。

結局まだ足並みは揃いきれてないのが伺えます。

 

相変わらず印が結べてない首長たち

 

あと忍者協議会発足の記事でも書きましたが、「正しい忍者像を発信する!」と公言しながら、首長の方たちが相変わらず印をちゃんと結べていないんですよね。

 

そろそろ誰か教えてあげた方がいいのでは・・・笑

 

正しい印の結び方は忍者展に展示されているので、一度行ってみると良いと思います。

 

ショーの順番のバランス

 

各忍者団体は、現代人の琴線に触れるような工夫はしながらも、どの団体も必ず「忍者の根拠」をしっかりと用意し、忍者を楽しんでもらいもらいながらも誤った忍者像だけではなく「忍者とは何か」を伝えようとしています。

 

でも複数の団体がいるとどうしても内容的には手裏剣とか刀とか被ってしまうのが忍者の常。

 

今回武蔵一族のショーの演出を担当した鎌田さんも、他の忍者団体の催し物を考えたときにお客さんが飽きないように本来の武蔵一族のショーを大きく変えて、幻想的で音を使った今までにない武蔵一族の違うテイストにスポットを当て、一族の歴史に沿ったショーをイチから考案したそうです。

 

川上先生も他の団体がアクションが多いだろうからと、呪術にフォーカスしてわずか15分のショーのためにわざわざ福井からいらっしゃったようです。

 

服部半蔵忍者隊も、本来なら剣と音楽に乗せたダンスが一番の得意なはずですが、今回は人数のせいもあるかもしれませんが、忍術や道具の解説に切り替え、忍者とはどんな術を用いていたのかを伝えています。

 

それぞれお客さんが楽しんでくれるように、なるべくかぶらないようにそれぞれ試行錯誤したのに、二回連続で同じ団体がショーを行うなど、イベント全体の構成としてはどうもバランスがいいと言えるものではありませんでした。

 

やるなら徹底的にやって欲しい

 

先日のリオ・オリンピックでの東京オリンピック予告編ムービーは、海外の方における日本の人気コンテンツをしっかりと押さえ、ドラえもんやマリオ、キャプテン翼やキティちゃんなどが登場し、終いには阿部首相が「阿部マリオ」に扮するなど大変素晴らしいものでした。


忍者も海外にとっては大変人気なコンテンツですが、やっぱり「お客さんが何を求めていて、何を提供すると喜ぶのか」を抑え、ちゃんとそれを実行しないと誰も振り向きません。


東京オリンピックに向けて忍者を世界に発信するのが目的だと思うのですが、忍者団体はあらゆる趣向を凝らしながらもお客さんの興味を引いたり、喜びそうなことを真剣に考えて、工夫して、提供することに勤めています。

 

結局、これだけ各団体は頑張っているのに、仕切りが悪いと忍者業界全体が「サムいことやってるね」って目で見られてしまいます。

 

お客さんが見たいのは、間違った印を結ぶおじさん達の集合写真なんかじゃない。

 

この忍者まつりも、今回参加されなかった団体もまだまだいるので、もっと入念に準備し、企画を詰め、早くから多くの団体に声をかけていれば、本来ならこの10倍は盛り上がるイベントになるポテンシャルはあったはずです。

 

彼らの魅力を最大限発揮できるように環境を整えるのが、それを取りまとめる団体の本来の仕事なはずですので、国民が払う税金を使って忍者を司るというのであれば、忍者界のためにもう少し本気になってもらいたいものですね。

 

クールジャパンを公・官が主導してダサいといわれていたのが、今回のオリンピック予告ムービーでは一気に評価が変わったと思っています。

 

忍者はまだまだ手を入れなきゃならない余地があるなと感じました。

 

今は学術による忍者ブームが来ており、その点は三重大学が引っ張っていってますが、そのブームに乗っかったり、さらに拡張させていくには、やはりブームとなっている「忍者本来の姿」を伝えることも、もう少し意識した方がいいように思います。

 

そのためには、ちゃんと忍者のことをよくわかっている人がグリップしていく必要がありそうです。

 

本質を抑えながらも現代人に刺さる企画ができるのは国内でもそんなにいるわけではなさそうです。

 

Ninjackもそれを上手くやろうとして頑張ってますが、これを個人でやるのは時間の面でもお金の面でもなかなか難しいのが所感。

 

でも忍者好きな仲間とブレストしたり話したりしてるとすごく面白そうな企画はいっぱい出てきます。

 

結局は何があたるのかはわからないのでいろいろ試してみるしかないのですが、スケジュール管理とか段取りはきちんとやるべきです。

 

と、忍者まつりにすごく高い期待をしていただけに少々苦言を呈してしまいましたが、忍者はまだまだこれからです。

 

ぜひもっとグレードアップして次回はもっと豪華に盛り上がるイベントになることを期待したいですね!