嵩丸秘傳

あるときはサラリーマン。またあるときは和太鼓奏者。その真の姿は世を忍ぶ乱波者「嵩丸」が書き残した秘傳の書が発見されたようです。忍者専門サイト「Ninjack」の中の人もやってます。

大企業辞めて忍者で生きてきます

ついに新年度が始まりましたね!

 

実は先日、ずっと勤めていた某IT企業の最終出社でした。新卒から10年間、社内の人にも取引先の人にも恵まれ、自分自身がとても成長させていただいた会社でした。正直若干の寂しさもあります。

 

実はNinjackを始めたのも、この会社で自分が立ち上げたプロジェクトでご一緒させていただいた方にヒントを得た、という経緯もありました。全く関係ないことでも、視点次第では全て自分のやるべきことに繋がってるんだろうな、って思えて仕方ありません。人生無駄なことなんて一つもないんだなぁ、と改めてしみじみ...

 

その会社での仕事は楽しいし、刺激もあり、結構順調に出世できていたこともあって、仕事面でも待遇面で何の不満もありませんでした。このままいれば一般的な「豊かな人生」は送ることができたと思います。

 

そんな会社を辞めて、この後自分は何をしていくのか。

 

新年度一発目、そんな話を書いていきたいと思います。というのも、この先進む道はきっと思い通りに行かないことが多くて、途中何度も挫けそうになる試練が降りかかるだろうと予想できていて...  この先大きな力に屈しそうな時にでも、今感じていることを思い出せるように書き留めておきたいからです。自分用の備忘的なものですし、めっちゃ長いので予めご了承ください...!

 

さて、この春からは以下の二つのことを行なっていきます。

 

三重大学院で忍者・忍術の研究を行う

②正社員として日本忍者協議会の運営に携わる

 

結構これには悩むこともあったので、これによって何を成していきたいのか、しっかり宣言しておきたいと思います。

 

大学院での研究テーマ

研究テーマって普通論文書く前はあまりは口外しない方がよいのかな...その辺りは疎いですが、大学院では「中世の忍術書などの教えが近代の事象にどのような影響を与えたか」について研究していこうと思っています。

 

忍者とか忍術って「夢・幻想」として捉える分には大変おもしろいですし、ロマンもあって最高なコンテンツだとは思います。ですが現代を私達が生きる上で、本来の忍びの者達が持っていた技術や思想というのは本当に必要なものなのでしょうか。得た研究成果は、現在を生きる私達に何かメリットを与えてくれるものなのでしょうか。

 

この点がいつもモヤモヤしていて、なんだか忍者というのは「別になくても困らないもの」なのではないか、と思うときもしばしばあるわけです。「そんなことないし!」と自分に言い聞かせながらも、どうしてもイロモノとして扱われてしまう。そんな存在が「忍者」であり、まだそこから抜け出しきれていない、というのが現在のステータスなのではないかと考えています。

 

この点について「実は現代の僕らのおじいちゃんくらいの世代までに結構影響を与えていたのではないか」といういくつかの仮説を持っており、それが正しいのかそうでないのかを研究していけたらと思っています。そしてそれが明らかになれば「今後僕らが未来を生きていく上で必要なもの」になるのではないかと考えてやみません。まだ仮説段階ですが、3年間しっかり学んで「過去の忍者の本質から現代へと結びつける一つの線」を描きたいと考えています。

 

本当は過去の忍者や忍術の実態を紐解いていく歴史研究こそやりたいのですが、まだそこまでのスキルがありません。そこは多大なる功績を修められている先生方の教えをよく聞いて、今後自分でも貴重な資料の発見などができる力を蓄えたいと思います。この前先生から「覚悟しとけよ」と言われたので...頑張るぞ...!

 

この研究部分は社会人やりながらだと大変だろうとは思うものの、ただただ楽しみでしかないです。なのでそこまで心配とかはありません。

 

問題は次です...

 

忍者界の課題

 

もう1年半前にもなりますが、このブログでも日本忍者協議会(以下「協議会」と書きます)について手厳しいことも含めて書いていました。

 

忍者まつりで感じた危機感 - 嵩丸秘傳

忍者を束ねるということ - 嵩丸秘傳

 

協議会には課題がたくさんあり、それを解決して行くためにはどうしたらいいかについて筆をしたためたわけですが、その後の1年半が経過しています。何か変わったでしょうか。

 

忍者プロジェクトだとか忍者議連だとか大々的なプレスリリースを出して大きな事は言うものの、結局世の中に何らかの忍者のサービスが出たわけでもありません。中身がいつも伴っておらず、この団体が存在することによって忍者界に良くなった功績が見当たらないのです。(去年よりも忍者全体は盛り上がりは見せていると思うのですが、それは三重大学を始めとする前から忍者に本気で取り組んでる人達のおかげでしょう)

 

この間の国際忍者学会では、最後の最後の締めで協議会のとある方がスピーチをしていたのですが、これがもう本当に酷すぎて。詳細は伏せますが、真剣に忍者を学術的価値が見出せる地位まで頑張って持って来た先生方の苦労を、一瞬で水の泡にするような内容でした。そのスピーチのタイトルは皮肉にも「忍者界の現状と課題」だったのですが、長い間忍者界にいる人たちからすると「日本忍者協議会が課題だよね」と言わざるを得ない状況であることを痛感しています。

 

3年前に内閣府から受けた、地方創生名目の交付金約1.2億円は果たしてどこに消えたのか。自分も含め、国民の皆様が一生懸命働いて納めた税金です。それが「忍者」の名前を盾にして、忍者自体の活性にも役立てず、よくわからないまま消えていく。忍者にポテンシャルがそんなにあるなら利用者からの売上でも、そこにキャピタルゲインを感じる投資家からの資金調達でもすればいいんです。国の補助金なんぞいらないわけで、補助金がないとやっていけないなら忍者なんて必要ないんだと思います。それだったら復興や年金問題少子化対策などに予算を投じた方がよっぽどいいです。これでは「忍者なんだよ(怒)」って人が出てしまってもおかしくありません。

 

個人的に忍者ってこれまで「忍者のことを嫌いな人はいない」というとても稀有な存在だと思っていて、それが忍者の良さでもあるのかなと思っています。パンダみたいな存在ですかね。でも、こういう忍者を傘にして税金を無駄遣いしているかのような印象を与えてしまってる状況が続いてしまうと、やがて忍者という存在自体だけでなく、忍者を本当に愛して活動している人たちが白い目で見られてしまう日が来てしまうのではないか、と危惧していました。

 

協議会に関わる人たちはみんないい人です。やろうとしていることもすごく夢のあることだと思っています。ただ、前回のブログにも書きましたが、実行力、いわゆる「一流の料理人」が足りていないままであるのは変わっていないようです。

 

協議会を中から変えていく忍務

 

実は結構前から協議会にジョインしないかと誘われていました。でもIT企業での長期プロジェクトが続いていたので、ずっと断っていたんです。そしてちょうど12月にプロジェクトが終わったとき、やっと休みが取れた年末年始にいろいろ考えました。上述したような忍者界全体にも波及するような課題を、やっぱり放っておくわけにはいかないな、と。僕が愛する忍者と忍者に関わる人達がもっと活躍できるような社会を作りたいな、と。

 

ということでオファーを受けることにして、この春より日本忍者協議会の運営メンバーの一人として、忍者界の全体の発展を目指して活動させていただくことになりました。自分のような若輩者がおこがましいですが、自分が思って指摘したような課題点を言いっぱなしにするのでなく、懐に入って自ら解決しにいくことにします。

 

多分しがらみが凄く多い組織だと思うので、好きなことやるのはかなり骨が折れるような気はしています。一時は対抗する組織でも作ろうかと考えたこともあります。なので結構迷いましたが、忍術の道歌「義盛百首」にも「忍びには習ひの道は多けれど まず第一に敵に近づけ」ともありますので、中に入っていく潜入忍務を遂行することにしました(敵ってわけじゃないけど笑)

 

「この後みんな上長になるのに、これだけ好きなことブログに書いて大丈夫なの?」と思われるかもしれませんが、入る前に前回までの内容は見せているので大丈夫...だと思います。むしろ誘ってくださった方は、的確に課題を挙げてその対策まで考えてくれた、と感謝してくれました。(大ボスは多分ネット見てないから大丈夫だと思う...見られたらごめんなさい笑)  決してネガティブキャンペーンではなく、なんとかしたいという想いから書いていることも理解してくれると思います。

 

僕が担当する仕事は、忍者関連情報の発信やサイト運営、その他事業の企画担当になります。Ninjackの方はどうなるのか...は近々正式にお伝えしますので、続報をお待ちください。

 

とにかくこれまで協議会がやるべきだった情報発信と企画開発、忍者の方達との連携をしっかりやっていきたいです。そして今忍者で頑張っている人たちや、忍者が大好きな人たちに役立つ情報や仕組みを供給していきたいと思っています。そんな誓いを胸に突き進んでいきます!

 

ただステークホルダーはやはり大物ばかりで、僕なんかでは太刀打ちできないこともたくさん出てくるでしょう。国、自治体、大学、大企業と渡り歩いて行かねばならぬので、そんなに楽な道ではなさそうです。中に入ってみると「こりゃ情報発信とか企画にも手が回らないよなぁ」っていう凄く泥臭くて大変なことをやってらっしゃるようで、言い過ぎたかなとも思いましたが、一般の人には中の事情なんて関係ないですからね。言い訳せずに、協議会がこれまで手が回っていなかった部分を責任持って対応していきます。

 

多分これ読んでる人忍者関係者しかいないと思うので、もし協議会にご意見とかある方は今度お会いした時にこっそり教えてください。今までの非礼がありましたら、この後の行動で挽回させていただければと思います。

 

 

2018年度はこれまで培った経験を活かしながら、ビジネス面、アカデミック面の双方から忍者にどっぷり浸かっていく年となりそうです。精一杯やってく所存ですので、みなさま今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします!

 

※今日はエイプリルフールですが上記の話は全部本当です!